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03.14.21:41 [PR] |
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03.08.17:43 Doubt…3 |
僕の罪は
罪になるほど重くなく
善に甘んじる程軽くない
じゃぁだれが僕の罪を
裁いてくれるのでしょうか。
●Doubt…3
『マルガリータでございます』
マルガリータ。
(俺でも聞いたことあるな…。)
『マスター、聞いてよ。』
やはり、右から左に抜けていく声だなあ。
俺はその男を視界にいれまいとして、真正面のリキュール棚を見た。
たくさんあるりキュールを一つ一つ読んでみる
ホワイト…キュライ―?キュラソー?
ホワイトキュラソーかな…。
わかんないや、次。
『あーやっと研修終わったと思ったら、現場に出向で半年勤務だって。やってらんね。』
『さようでございますか。どちらに勤務のご予定なんですか?』
えーっと…ドライ…べる、ベルモット…。
ドライシェリー…シュリ―…?
ドライがあるなら、ウェットもあるのかなぁ。
カチっとライターに火をつける音がする。
フー…
スモーキーな視界に、俺の眉間にしわがよる
マルボロ…6mgってとこか。
俺の働いてた牛丼やは分煙だったから、客の吸ってた煙草の匂いと置いて行った空のケースで
なんとなくどんなタバコか想像がつく。
『まぁ出向するのが地元近いってところしか救いようがないね。
駅で3駅ってところかな。でもさー、シフト性だし、休みもあってないようなもんだよね。』
『さようでございましたか。』
『あー…だりぃ。』
なにがダリィだよ。俺なんて今日バイトクビになったばっかりなのにさ。
はー…
『彼女にも言えなくてさ―。
大手に勤めたってことですっげー喜んでたからさ。それが支店に出向なんて。』
『ですが半年経ちましたら本社に戻れるのでしょう?』
『まぁねー。でも基本営業だから、全国どこ飛ばされるかわかんねーんだわ。』
カラン…
『いらっしゃいませ。』
あ、だれか来たんだ。
『あ、いた。』
女の声がする。
さっきの男と待ち合わせしてたのか。
『おせぇよ。先飲んじまってるよ。』
香水の匂いが、ツンとする。
はぁ…バーに来るのに香水なんて付けてんじゃねぇよ…。
『何飲んでるの?』
『え?ああ、…なんだっけ。』
『マルガリータでございます。』
マスターが女におしぼりを渡しながら答える。
『ふーん…よく聞く名前よね。』
『お客様は何に致しますか?』
男の手元にあったメニューをぱらぱらとめくりながら女は悩む。
『んー…じゃぁビール。』
(ビールかよ!)
メニューめくる意味ないしー
『かしこまりました。』
マスターはうやうやしく、ビアグラスにビールを注ぎ始める。
最初にたまった泡を取った後、また改めて泡を作りはじめる。
なんでだ、あれは。泡がなめらかになったのか?
(俺にはよくわからない…。)
ちびりとギムレットを飲む。あと2口で空になる。
『ねぇマスター。こいつにもマルガリータの話をしてやってよ。』
マスターは『どうぞ』と言いながら、女の前にビールをおいた。
ステンレスのグラスは、とてもつめたそうだ。
『…ん、おいし。』
ビールに口を付けたのだろう。
『マルガリータは…』
マスターは話し始めた。
『マルガリータが誕生したのは、1949年でございます。
アメリカのナショナルカクテルコンペで3位に入賞したものです。
カクテルを考案したバーテンダーは、狩猟場で流れ弾に当たって不幸にして亡くなった遠い昔恋人の名前を付けました。
マルガリータ、と。
ほのかな酸味は、悲しい恋の味でしょうか。』
ふぅん…マルガリータは悲しい恋のカクテルか。
『あなたとあたしみたいね、マルガリータ。』
『なんでそうなるんだよ。』
『だってあなたには別に彼女がいるんでしょう?私とは結ばれない。悲恋じゃない。』
『悲恋ねぇ…こうして週3であって、悲恋もなにもねぇだろ。』
ちらりと男のほうを見た。
女は男のほうを向いていて、その顔は見えない。
髪は黒髪でさらっさらのストレート。
腰まで伸びた髪はまっすぐに、キューティクルが美しい。
細いなー。
黒いワンピースの腰には真っ赤なエナメルの細ベルトが止めてある。
そしてうす色のストッキングの足首には薔薇の刺繍がしてある。
ピンヒールの靴は、ううん、10cmといったところだろうか。
深い青の千鳥格子のデザインだ。たぶん顔もきれいなんだと思う。
(全部が全部、俺は好きじゃない)
きれいなんだとは思う。でも、俺は好きじゃない。
大人の色気―って感じだけど
うん、俺は、俺はね。好きじゃない。
****************************
マルガリータ
材料
・テキーラ…30ml
・ホワイトキュラソー…15ml
・レモンジュース…15ml
作り方
1.材料をシェイカーに入れてシェイクする
2.淵をレモンなどで湿らせ、そこに食塩を付けたカクテルグラスに注ぐ(スノースタイル)

罪になるほど重くなく
善に甘んじる程軽くない
じゃぁだれが僕の罪を
裁いてくれるのでしょうか。
●Doubt…3
『マルガリータでございます』
マルガリータ。
(俺でも聞いたことあるな…。)
『マスター、聞いてよ。』
やはり、右から左に抜けていく声だなあ。
俺はその男を視界にいれまいとして、真正面のリキュール棚を見た。
たくさんあるりキュールを一つ一つ読んでみる
ホワイト…キュライ―?キュラソー?
ホワイトキュラソーかな…。
わかんないや、次。
『あーやっと研修終わったと思ったら、現場に出向で半年勤務だって。やってらんね。』
『さようでございますか。どちらに勤務のご予定なんですか?』
えーっと…ドライ…べる、ベルモット…。
ドライシェリー…シュリ―…?
ドライがあるなら、ウェットもあるのかなぁ。
カチっとライターに火をつける音がする。
フー…
スモーキーな視界に、俺の眉間にしわがよる
マルボロ…6mgってとこか。
俺の働いてた牛丼やは分煙だったから、客の吸ってた煙草の匂いと置いて行った空のケースで
なんとなくどんなタバコか想像がつく。
『まぁ出向するのが地元近いってところしか救いようがないね。
駅で3駅ってところかな。でもさー、シフト性だし、休みもあってないようなもんだよね。』
『さようでございましたか。』
『あー…だりぃ。』
なにがダリィだよ。俺なんて今日バイトクビになったばっかりなのにさ。
はー…
『彼女にも言えなくてさ―。
大手に勤めたってことですっげー喜んでたからさ。それが支店に出向なんて。』
『ですが半年経ちましたら本社に戻れるのでしょう?』
『まぁねー。でも基本営業だから、全国どこ飛ばされるかわかんねーんだわ。』
カラン…
『いらっしゃいませ。』
あ、だれか来たんだ。
『あ、いた。』
女の声がする。
さっきの男と待ち合わせしてたのか。
『おせぇよ。先飲んじまってるよ。』
香水の匂いが、ツンとする。
はぁ…バーに来るのに香水なんて付けてんじゃねぇよ…。
『何飲んでるの?』
『え?ああ、…なんだっけ。』
『マルガリータでございます。』
マスターが女におしぼりを渡しながら答える。
『ふーん…よく聞く名前よね。』
『お客様は何に致しますか?』
男の手元にあったメニューをぱらぱらとめくりながら女は悩む。
『んー…じゃぁビール。』
(ビールかよ!)
メニューめくる意味ないしー
『かしこまりました。』
マスターはうやうやしく、ビアグラスにビールを注ぎ始める。
最初にたまった泡を取った後、また改めて泡を作りはじめる。
なんでだ、あれは。泡がなめらかになったのか?
(俺にはよくわからない…。)
ちびりとギムレットを飲む。あと2口で空になる。
『ねぇマスター。こいつにもマルガリータの話をしてやってよ。』
マスターは『どうぞ』と言いながら、女の前にビールをおいた。
ステンレスのグラスは、とてもつめたそうだ。
『…ん、おいし。』
ビールに口を付けたのだろう。
『マルガリータは…』
マスターは話し始めた。
『マルガリータが誕生したのは、1949年でございます。
アメリカのナショナルカクテルコンペで3位に入賞したものです。
カクテルを考案したバーテンダーは、狩猟場で流れ弾に当たって不幸にして亡くなった遠い昔恋人の名前を付けました。
マルガリータ、と。
ほのかな酸味は、悲しい恋の味でしょうか。』
ふぅん…マルガリータは悲しい恋のカクテルか。
『あなたとあたしみたいね、マルガリータ。』
『なんでそうなるんだよ。』
『だってあなたには別に彼女がいるんでしょう?私とは結ばれない。悲恋じゃない。』
『悲恋ねぇ…こうして週3であって、悲恋もなにもねぇだろ。』
ちらりと男のほうを見た。
女は男のほうを向いていて、その顔は見えない。
髪は黒髪でさらっさらのストレート。
腰まで伸びた髪はまっすぐに、キューティクルが美しい。
細いなー。
黒いワンピースの腰には真っ赤なエナメルの細ベルトが止めてある。
そしてうす色のストッキングの足首には薔薇の刺繍がしてある。
ピンヒールの靴は、ううん、10cmといったところだろうか。
深い青の千鳥格子のデザインだ。たぶん顔もきれいなんだと思う。
(全部が全部、俺は好きじゃない)
きれいなんだとは思う。でも、俺は好きじゃない。
大人の色気―って感じだけど
うん、俺は、俺はね。好きじゃない。
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マルガリータ
材料
・テキーラ…30ml
・ホワイトキュラソー…15ml
・レモンジュース…15ml
作り方
1.材料をシェイカーに入れてシェイクする
2.淵をレモンなどで湿らせ、そこに食塩を付けたカクテルグラスに注ぐ(スノースタイル)

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